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キンポウゲ科 Ranunculaceae

おもに多年草。1年草、つる植物、木本になるものもある。キンポウゲ属やトリカブト属など一部をのぞき、萼片がよく発達して花弁状になるものが多い。

 Aconitum トリカブト属 (Aconite, Monkshood, Wolf's Bane)
 北半球の温帯以北に、約300種が広く分布。トリカブト亜属、レイジンソウ亜属、ギムナコニトゥム亜属の3つの亜属からなる。このうち、有毒で知られるのはトリカブト亜属。アコニチン、メサコニチン、ヒパコニチンなどのアルカロイドを含み、植物界最強の猛毒を持つ(種により、あるいは同じ種でも生育地域などによっては毒性の少ないものがある)。誤食すると嘔吐、下痢、呼吸困難、呼吸まひ、手足のしびれなどが起き、少量でも死に到る。
 かぶと状に見えるものは萼片で、花弁(2枚)はかぶと(頂萼片)の中に隠れている。
 北半球の多くの民族では、狩猟時の矢毒として用いた。トリカブトの有毒成分は、加水分解されると無毒化されるため、この毒によって殺された動物の肉を食べても、人間には害がないからである。他の多くの矢毒もこの性質を利用している。アイヌもクマ狩りのときにこの毒を用いた。中国では母根を「烏頭(うず)」、子根を「附子(ぶし)」と称し、薬用に用いたが、量を誤ればやはり危険で、日本の本草学者の白井光太郎は、烏頭を強壮剤として服用し、誤って中毒死したという。

Aconitum napellus Aconitum napellus アコニトゥム・ナペルス
Aconitum napellus
一般名(英名):Monkshood
 中央ヨーロッパに分布。薬用、観賞用に利用される。
1959年 ユーゴスラビア 1982年 東ドイツ


 Adonis フクジュソウ属
 多年生の草本。北半球の温帯に約20種が分布。

Adonis aestivalis ナツザキフクジュソウ
Adonis aestivalis
英名:Summer Adonis
 中部ヨーロッパ原産の1年草。薬用にも利用される。
1984年 ラオス

ヨウシュフクジュソウ
Adonis vernalis

英名:Spring Adonis
 ヨーロッパからシベリアにかけて分布。観賞用のほか薬草としても利用。
ヨウシュフクジュソウ Adonis vernalis
1973年 ハンガリー
Adonis vernalis
1955年 ユーゴスラビア

 Anemone イチリンソウ属 (Wind-Flower)
 世界に約150種あり、ユーラシアの温帯にもっとも多い。花弁もなく、蜜も分泌しない。花弁のように見えるのは萼片。痩果(そうか)に長い毛があり、風によって種子が散布される。属名もギリシャ語で「風」の意。英名もウインドフラワー。有毒のものや民間薬に利用されるものもある。

Anemone biflora アネモネ・ビフロラ・ルブラ
Anemone biflora var.rubra
1986年 イラン

アネモネ(ボタンイチゲ)
Anemone coronaria
英名:Poppy Anemone
 塊茎性の宿根草。高さ20〜40cm。花茎の頂部に直径5cmほどの花を一つつける。花弁はふつう6〜8枚。地中海沿岸が原産。16世紀末にはすでに多くの品種がイギリスで栽培されていた。日本には1872年に渡来。
 摘み取るとすぐに萎れてしまうため、ヨーロッパでは美のはかなさの象徴とされる。
Anemone coronaria
1959年 イスラエル
Anemone coronaria
1986年 イラン

アネモネの1種 Anemone aurea
1976年 旧ソ連
アネモネ・アウレア
Anemone aurea
ヤブイチゲ Anemone nemorosa
1968年 スウェーデン
ヤブイチゲ
Anemone nemorosa

英名:European Wood Anemone, Grove Wind-Flower
森林林床生の多年草。ヨーロッパからユーラシア大陸冷温帯地域に分布。観賞用にも植栽される。

ハクサンイチゲ ハクサンイチゲ(白山一華)
Anemone narcissiflora var.nipponica
 本州中部地方以南の高山に分布。高さ15〜50cm。直径2〜3cmの白色の花を7〜8月に開く。日本の夏山を彩る代表的な高山植物である。
2005年 日本

Anemone ranunculoides アネモネ・ラヌンクロイデス(イエロー・アネモネ)
Anemone ranunculoides
英名:Yellow Anemone
1975年 旧ソ連

アネモネ・スルフレア Anemone sulphurea アネモネ・スルフレア
Anemone sulphurea
 ※学名は世界植物切手図鑑による。
1949年 スイス


 Aquilegia オダマキ(アクイレギア)属  英名:Columbine
 約70種が北半球に分布。英名は コロンバイン Columbine で、花をハトが飛ぶ姿に見立てたもの。

アクイレギア・ディナリカ Aquilegia dinarica
アクイレギア・ディナリカ
Aquilegia dinarica
2004年 ボスニア・ヘルツェゴビナ
アルプスオダマキ Aquilegia alpina
アルプスオダマキ
(アクイレギア・アルピナ)
Aquilegia alpina

1966年 オーストリア

ミヤマオダマキ ミヤマオダマキ
Aquilegia flabellata var.pumila
 本州の中部地方以北、北海道、南千島とサハリン、朝鮮半島北部の高山帯に分布。高さ10〜25cm。花の直径は3〜4cm。距の先端は内側に強く巻き込む。
 園芸で用いられるオダマキ A. flabellata は、このミヤマオダマキを改良してつくられた。
2005年 日本

オダマキの1種 Aquilegia olympica
1976年 旧ソ連
アクイレギア・オリンピカ
Aquilegia olympica
Aquilegia caerulea
1982年 アメリカ
アクイレギア・カエルレア
Aquilegia caerulea
オダマキ属の花の多くは下向きにうつむいて咲くが、この花は上向きに咲く。

鳥はカタジロクロシトド
Calamospiza melanocorys
英名:Lark Bunting


 Caltha リュウキンカ属 (Marsh Marigold)
 北半球の寒冷な地域の湿地に約10種が分布。

エゾノリュウキンカ エゾノリュウキンカ
Caltha fistulosa
 高さ約80cmの多年草。花は大きく直径3〜4cm。サハリン、北海道、秋田県、青森県に分布。葉柄の断面は円形(リュウキンカは馬蹄形)。若い葉は山菜として炒め物やお浸しに利用される。茎や葉がフキに似ることから、別名ヤチブキとも呼ばれる。
2005年 日本

カルタ・パルストリス Caltha palustris
カルタ・パルストリス Caltha palustris
1959年 スイス
Caltha palustris
1991年 フィンランド
Caltha palustris
1983年 アイスランド

カルタ・サギッタータ Caltha sagittata カルタ・サギッタータ
Caltha sagittata
英名:Arrowleaf Marigold
1968年 フォークランド諸島


 Clematis センニンソウ属
 東アジアの暖帯を中心に、世界に約300種が分布。木性または多年生ののつる植物。

クレマティス・アルピナ Clematis alpina クレマティス・アルピナ
Clematis alpina
 ヨーロッパ東中部から天山山脈、シベリアにかけて分布。花色に変化が多い。
1949年 スイス


 Consolida ヒエンソウ属
 ヨーロッパ南部から中央アジアを経て、中国西部に約40種が分布。かつてはオオヒエンソウ属 Delphinium に含まれた。薬用として利用される。

ルリヒエンソウ Consolida regalis ルリヒエンソウ
Consolida regalis (Syn. Delphinium consolida
 ヨーロッパ、コーカサス地方原産。全草、特に種(たね)は有毒。
1960年 スイス


 Delphinium デルフィニウム(オオヒエンソウ)属
 北半球の温帯域を中心に約600種が分布。多年生または1年生草本。美しい花をもち、園芸植物として栽培される種も多い。

Delphinium cheilanthumデルフィニウム・ケイラントゥム
Delphinium cheilanthum
1969年 モンゴル

デルフィニウム・オクシセパルム Delphinium oxysepalum デルフィニウム・オクシセパルム
Delphinium oxysepalum
1979年 チェコスロバキア


 Helleborus ヘレボルス属
 常緑または夏緑性の多年草。ヨーロッパから西アジアにかけて15種が分布。地中海地方に多い。種間雑種が容易にできる。

ヘレボルス・コニ Helleborus coni ヘレボルス・コニ
Helleborus coni

クリスマスローズの1種。
1966年 アンドラ(スペイン郵政)

Helleborus niger クリスマスローズ
Helleborus niger
英名:Christmas-Rose, Black Crist-Hellebore
 常緑の多年草。原産はヨーロッパ。高さ20〜40cm。クリスマスの頃に花を咲かせるので、この名がある。葉は根生(こんせい)する掌状複葉(しょうじょうふくよう)で暗緑色。花は萼が花弁状になったもので直径5〜6cm。花色は最初白で、次第に紫色をおびる。根にヘレブリンとよばれるアルカロイドをもち、強心作用や抗癌作用があるといわれるが、毒性も強く、属名も「食べると死ぬ」の意。
 古代ギリシアでは頭のはたらきをよくする薬として劇作家や哲学者が好んで服用したという。また鬱病やヒステリーを癒やす効果もあるとされた。日本には明治初年に渡来。
参考文献:図説 花と樹の大事典(柏書房)/世界有用植物事典(平凡社)他
1978年 ガーンジー


 Pulsatilla オキナグサ属
 ユーラシア大陸に広く分布し、約43種が知られる。萼片が花弁状になり、花弁はない。棍棒状にふくらんだ仮雄しべが蜜を分泌する。この仮雄しべの有無が、花の形が似たイチリンソウ属との相違点。

プルサティラ・アルピナ Pulsatilla alpina プルサティラ・アルピナ
Pulsatilla alpina
1966年 オーストリア

セイヨウオキナグサ Pulsatilla hirsutissima セイヨウオキナグサ
Pulsatilla hirsutissima Syn. P. ludoviciana, Anemone occidentalis, A. patens, A. pulsatilla, A. tuberosa
英名:Pasque Flower(パスクフラワー), Easter
英名のパスクフラワーは「復活祭の花」の意。この花がイースターの頃咲くという説と、この草からとった染料でイースターの卵を染めたという二つの説がある。

鳥はコウライキジ
Phasianus colchicus
英名:Ring-Necked Pheasant
1982年 アメリカ

Pulsatilla grandis
プルサティラ・グランディス
Pulsatilla grandis
1993年 モルドバ
オキナグサの1種 Pulsatilla ludoviciana
プルサティラ・ルドヴィキアナ
Pulsatilla ludoviciana
1965年 カナダ


 Ranunculus キンポウゲ属
 1年草または多年草。世界に約600種が広く分布。

Ranunculus acris ラヌンクルス・アクリス
Ranunculus acris
Meadow buttercup, Tall buttercup
1962年 アイスランド

Ranunculus asiaticus ハナキンポウゲ
Ranunculus asiaticus
 塊根を持つ高さ30〜45cmの多年草。地中海地方東部と中近東に分布。園芸の「ラナンキュラス」の原種のひとつ。13世紀半ばの十字軍遠征の際にヨーロッパにもたらされたという。
1979年 リビア

ラヌンクルス・グラキアリス
Ranunculus glacialis
ラヌンクルス・グラキアリス Ranunculus glacialis
1980年 フェロー諸島
Ranunculus glacialis
1964年 アイスランド

Ranunculus sylvestris ラヌンクルス・シルウェストリス
Ranunculus sylvestris
1975年 旧ソ連


 Trollius キンバイソウ属
 北半球の温帯から亜寒帯に約10種あまりが分布。

トロリウス・アシアティクス
Trollius asaticus

中国名:寛弁金蓮花
  高さ25〜50cm。花は直径3.5〜5cm。濃い橙黄色。
 シベリア、中国の黒竜江省と新疆ウィグル自治区、モンゴルに分布。
トロリウス・アシアティクス Trollius asaticus Trollius asiaticus
1977年 デンマーク 1969年 モンゴル

トロリウス・エウロパエウス
Trollius europaeus
英名:Golden Globe
 高さ30〜70cm。ヨーロッパ、ロシア南部、コーカサス地方に分布。ボタンキンバイに近縁で、萼片は完全に花を包み、黄色いボール状になる。花壇などにも利用される。
トロリウス・エウロパエウス Trollius europaeus
1966年 オーストリア

1992年 フィンランド
Trollius europaeus
1975年 旧ソ連



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