切手植物園(Home)    国名一覧表    科名一覧表    和名一覧表    Country Name Index    Family Name Index

ヤシ科 Palmae
(Arecaceae)

約200属2600種からなる。人の生活と密接に関わり、経済的な重要さは単子葉植物ではイネ科植物に次ぐ。

 Arenga クロツグ(サトウヤシ)属
 羽状の複葉を有する刺のないヤシ。熱帯アジアからオーストラリアにかけて10数種が分布。
アレンガ・リステリ Arenga listeri アレンガ・リステリ
Arenga listeri
 クリスマス島(オーストラリア領)固有種。リン鉱採掘による熱帯雨林破壊などが原因で、種の存続が危ぶまれている。IUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧種に指定。  
1991年 クリスマス島


 Borassus オウギヤシ(ウチワヤシ)属
 無刺で掌状の複葉を有する高木性のヤシ。旧世界の熱帯に約10種が分布する。

ボラッスス・アエチオプム Borassus aethiopum
英名(Common Names):Ron or Ronier palm, Black Rhun palm, African Palmyra palm, Bottle Palm
現地名:Mvumo
 熱帯アフリカのサバンナ地帯などに生育。高さ約15〜25m。雌雄異株。果実は長さ約15cm、直径約10cm。若い果実はオレンジ色を呈し、熟すと黒くなって食べられる。
ボラッスス・アエチオプム Borassus aethiopum
1986年 ケニア
Borassus aethiopum
1989年 ザンビア


 Chambeyronia カムベイロニア属
Chambeyronia macrocarpa カムベイロニア・マクロカルパ
Chambeyronia macrocarpa
一般名:Red-leaf Palm
1994年 ニューカレドニア


 Coccothrinax コッコスリナクス属
Coccothrinax dussiana コッコスリナックス・ドゥッシアナ
Coccothrinax dussiana
1990年 セントルシア


 Cocos ココヤシ属
 羽状の複葉を有する、刺のない大型のヤシ。

ココヤシ
Cocos nucifera
英名:Coconut Palm
 原産地は不明だが、太平洋西端域にある島々の沿岸と考えられている。世界各地の熱帯の海浜や河口地域で栽培される代表的なヤシ。樹高は30mに達する。
 内果皮に接する脂肪層を削り取って搾ったものがココナツミルクで、東南アジアなどの料理に広く使われ、また食用油や石けんの原料ともなる。また胚乳液は無色透明で、安全な飲料水として古くから利用されてきた。またリンゲル液にきわめて近いため、戦争中は応急のリンゲル液として使用されたという。
ココヤシ Cocos nucifera
1981年 ドミニカ国
ココヤシ Cocos nucifera
1968年 ソマリア
Cocos nucifera
1995年 タンザニア
ココヤシ Cocos nucifera
1987年 モルジブ
Cocos nucifera
1960年 インドネシア
ココヤシ
1965年 カンボジア
ココヤシ
1983年 サモア

※以下3点とも 1981年 ウォリス・フトゥナ

Cocos nucifera Cocos nucifera Cocos nucifera

コプラ産業キリバス 1983年 以下5点すべて)
※ コプラとは、ココヤシの成熟果の脂肪層をはぎ取って乾燥したもの。油脂原料としてマーガリン、石鹸、ろうそく、ダイナマイトなどに利用される。
collecting fallen coconuts selecting coconuts for copra removing husk from coconuts
落ちたココナッツの採集 コプラ用ココナッツの選別 ココナッツの殻を剥く
drying copra in the sun loading copra, betio harbour
コプラの乾燥 Betio港でのコプラの船積み

 Cyrtostachys ショウジョウヤシ属
 羽状複葉を有し、群生し株立ちになるヤシ。マレーシア熱帯地域に10種あまりが分布する。

Cyrtostachys renda ショウジョウヤシ(猩々椰子)
Cyrtostachys renda
一般名:Sealing Wax Palm
 高さ10mになる大型のヤシ。マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島の泥炭湿地林が原産地。葉鞘から採種される赤い色素は封蝋や口紅の原料として用いられる。観賞用に栽培される。シンガポール植物園にはショウジョウヤシの並木道があることで知られる。
1995年 インドネシア


 Elaeis アブラヤシ属 (Oil Palm)
 羽状複葉を有する高木性のヤシ。アフリカに1種、南アメリカに1種が分布。

アブラヤシ
Elaeis guineensis
英名:African Oil Palm
 高さ20〜25m。上部に20〜40枚の葉がつく。葉は羽状複葉で長さ3〜5m。葉のつけ根に房状に果実がなる。1個の房には1000個以上の果実がつく。果実は卵形で長さ約5cm。多湿な熱帯アフリカ全域にみられるが、原産地の特定はむつかしい。果実からは最高級の油が採れ、現在は世界の熱帯各地で大規模に栽培されている。
 果肉から採った油をパーム油 Palm Oil とよび、マーガリン、ショートニング、石鹸などのほか、切削油(せっさくゆ)(※)、さび止め油などに使われる。
 (※)切削油(せっさくゆ)とは、金属などの切削加工を行う際に、摩擦抑制と冷却のために使用する油や水などの液体の総称。(Wikipediaより)
 また種子から採った油はカーネル油(パーム核油)Palm Kernel Oil とよび、パーム油と同様、マーガリン、石鹸の原料とする。
Elaeis guineensis
1960年 インドネシア
Elaeis guineensis
1973年 ガンビア
Elaeis guineensis
1973年 ガンビア


 Euterpe エウテルペ属
 

Euterpe oleracea アサイヤシ(ワカバキャベツヤシ)
Euterpe oleracea
英名:Assai palm
1994年 ブラジル


 Hyphaene ドームヤシ属
 約8〜10種が知られる。アフリカ、マダガスカル島、アラビア半島、インド西部の沿岸部に分布。1種を除き、茎が二又分枝する。

Hyphaene natalensis ヒファエネ・ナタレンシス
Hyphaene natalensis
1983年 ベンダ


 Lodoicea オオミヤシ属
 セーシェル諸島原産のオオミヤシ1種からなる単型属。

オオミヤシ(大実椰子)
別名:フタゴヤシ(双子椰子)、ウミヤシ(海椰子)
Lodoicea maldivica Syn. Cocos maldivica
英名:Double coconut, Seychelles nut, Sea Coconut
仏名:Coco-de-mer(海のココナツ)
 セイシェル諸島のうち、プララン(プラリン)島とキュリエーズ島だけに分布するヤシ。世界最大の種子を持つことで知られる。雌雄異株。大きな株では高さ約30mに達する。果実は重さ10〜20kg。和名のフタゴヤシ、英名の Double coconut はココヤシの実を2つくっつけたような果実の形状による。
 18世紀半ばにヨーロッパ人がセイシェル諸島でオオミヤシを発見するまで、この植物はモルディブ諸島やインド、スリランカ、インドネシアなどの海岸にときおり打ち上げられる果実によってのみ存在が知られていた。英名の Sea Coconut 仏名のCoco-de-mer も、この木が海の中に生えていると信じられていたことにちなむという。それまでは、種子の形状が女性の腰部を連想させることもあり、珍品として高値で取引されていた。
 果実の食用としての利用はほとんどされていないようである。葉は屋根葺き、敷物、帽子などに利用される。
 1990年、大阪で催された国際花と緑の博覧会(大阪花博)に、セイシェルからはるばる船で運ばれた株が展示されていたのを筆者は記憶している。「よみがえる花の万博」(1992年 大阪市立自然史博物館発行)によると、そのなかの一株(雄株)が生き残り、咲くやこの花館の大温室に植えられている、と書かれているがその後どうなったのだろう。

以下4種とも1980年 セイシェル

オオミヤシ Lodoicea maldivica オオミヤシ 工芸品 オオミヤシ 容器としての利用 オオミヤシ 雄株
雌株 工芸品としての利用 飲料水の容器としての利用
(Fisherman's gourd)
雄株。下垂しているのは雄花序で、長さ1〜1.8mに達する。


 Phoenix ナツメヤシ属
 約15種がカナリア諸島、アフリカ、中東からインド、東南アジアに広がっている。葉身が羽状葉で、小葉の断面がV字形で先端が鋭くとがっているのが特徴。

フォエニクス・カナリエンシス Phoenix canariensis フォエニクス・カナリエンシス(カナリーヤシ)
Phoenix canariensis
英名:Canary Island Date Palm
 高さ8〜15m、幹(茎)の直径50〜90cmに達する大型のヤシ。雌雄異株。カナリア諸島原産。耐寒性があり、世界各地の暖地で栽培されるが、原産地では野生の個体数は少ない。自然交配性が強く、原産地以外では他種との交雑種が多く見られるという。
 日本の暖地でも街路樹として植栽されている。また鉢植えにもされ、花序は生け花などに利用される。
1973年 スペイン

ナツメヤシ
Phoenix dactylifera
英名:Common Date Palm, Edible Date, Date Tree
 メソポタミア付近の原産とされる。アフリカを中心に乾燥熱帯域で栽培される。果実は直径2cmほどの卵形。糖分に富み、乾果は干し柿に似て、アラブ地域の砂漠の遊牧民の貴重な携行食品となる。果物というより主食的に利用される。ジャム、ゼリーとしても用いられる。幹は用材、葉は屋根葺きや繊維に、樹液からは酒がつくられる。
Phoenix dactylifera Phoenix dactylifera ナツメヤシ Phoenix dactylifera
1967年 モーリタニア 1967年 モーリタニア 1968年 カーボヴェルデ
ナツメヤシ 小型シート
1995年 バーレーン 小型シート


 Pritchardiopsis プリッチャルディオプシス属
Pritchardiopsis jeanneneyi Pritchardiopsis jeanneneyi
 ニューカレドニア島固有種。
1984年 ニューカレドニア


 Rhopalostylis ハケヤシ属
 羽状の複葉を有する中・大型のヤシ。ニュージーランド、ノーフォーク島などに3種が分布。
ロパロスティリス・バウエリ Rhopalostylis baueri ロパロスティリス・バウエリ
Rhopalostylis baueri
英名:Norfolk Island Palm
 ノーフォーク島原産。高さ約10m。
1984年 ノーフォーク島



切手植物園(Home)   国名一覧表   科名一覧表   和名一覧表   Country Name Index   Family Name Index